
松無古今色、竹有上下節、
梅自発清香
松に古今の色なし、竹に上下の節あり、梅自ずから発いて清香あり
茶掛け(茶席の掛け軸)には多くの禅語が詠まれています。松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)、過去も現在も変わらず保ち続ける松の色。対して、竹に上下の節とは普遍の差別。春の訪れを受けて自ずと開花し、三千世界(宇宙全体)に清々しく拡がる梅の香。
禅宗の灯史である「五灯会元」に綴られたこの軸の解釈は諸説ありますが、洗心の想いでこの意味を受け留め日々精進。
茶道には人の美しさが形になる瞬間があります。茶席では起こりうる現象「一期一会」。「心」の繋がる瞬間を楽しみ、和を以て貴しとなす。茶席を小宇宙と表現した千利休。空間の中に自然や人の心、世界の本質を凝縮させて無限の意味や広がりを見出そうとする精神を茶の湯に吹き込みました。ひとつひとつの趣向や設えには先人達の想いがひっそり佇んでいます♪