
松無古今色、竹有上下節、
梅自発清香
松に古今の色なし、竹に上下の節あり、梅自ずから発いて清香あり
茶掛け(茶席の掛け軸)には多くの禅語が詠まれています。松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)、過去も現在も変わらず保ち続ける松の色。対して、竹に上下の節とは普遍の差別。春の訪れを受けて自ずと開花し、三千世界(宇宙全体)に清々しく拡がる梅の香。
禅宗の灯史である「五灯会元」に綴られたこの軸の解釈は諸説ありますが、洗心の想いでこの意味を受け留め日々精進。
茶道には人の美しさが形になる瞬間があります。茶席では起こりうる現象「一期一会」。「心」の繋がる瞬間を楽しみ、和を以て貴しとなす。茶席を小宇宙として表現した千利休は、空間の中に自然や人の心、世界の本質を凝縮させて無限の意味や広がりを見出そうとする精神を茶の湯に吹き込みました。ひとつひとつの趣向や設えには先人達の想いがひっそり佇んでいます♪
茶の湯を楽しむ🎍🎎🎏🎋🎑🎍
茶会にいこう!👘
「茶道とかけて、作法と説く。その心は?」 ”知らぬと緊張する!?"😳
極端に堅苦しい必要はないのですが、どちらも礼を重んじる、その場に相応しいふるまいは身に付けておきたいですね (^^♪
茶席に入る|客の作法 畳の縁を踏まないで
① 席入り(茶室に入る)… 扇子を持って入ります
茶室の入り口で、扇子を膝前において座り、席中の様子を一礼してから扇子を敷居の向こう側(茶室内)にすすめ、自身もにじって入る。※「にじって(=退って)」とは、座ったままの姿勢で足や膝を使い、音を立てずにそっと動くこと。⇒正座のまま両手をグーの形(親指は外側)にして畳に付け、それを支えにして躰を移動。席入りの場合は、一膝分前に躰をすすめること。
② 床の拝見(床の間の掛軸を拝見する)… 席入りしたら、立って床の前へ
扇子を右手に持って立ち、右足から床前にすすむ(畳を右足で超える)。床前で座り、扇子を前に(席入り同様)一礼する。両手を軽くついて掛軸を拝見する。花があったら、掛軸に続き拝見。
③ 風炉の拝見… 次の客の動きをうまくかわしつつ道具畳にすすもう!
床前で立ち、戻るように床を背にして道具が置いておいてある畳にすすむ。風炉前に扇子を置いて座り、床の拝見と同様に風炉と釜を拝見する。
拝見の後は、後の客人の妨げにならないよう間合いを取って移動し、ひとまず空いている席に仮座します。全員の拝見が終わったら正客から順に定位置に着座します。
干菓子のいただき方|「お先に」は日常の心得
① 「お菓子をどうぞ」… 亭主からあいさつがあります
干菓子器は、最初に正客に出されます。が、点前の途中で亭主から「お菓子をどうぞ」と、あいさつを受けてからいただきましょう。
正客は一礼の後、次客に「お先に」と軽く礼をする。両手で菓子器を少し持ち上げて軽く礼をし、縁外(へりそと)前に置く。懐紙を取り出し、わ が手前にくるように縁内(へりうち)におく。左手を器に添えて、右手で菓子をとり懐紙へのせる。二、三種ある場合には一種類ずついただく。つまんだ手を懐紙のかどで拭く。(干菓子器にお箸はつきません)
② 干菓子をいただく前に … 次客へ菓子器をまわしましょう
菓子器を両手で少し持ち上げ、縁外で次客におくる。正客から順に薄茶が出ます。お菓子を懐紙ごと持ち上げ、お茶が出される前にいただきましょう(これは、出されたお茶を温かいうちにいただくという客人側の配慮です)。大きいお菓子は懐紙の上で(親指などを支点にして)割ってからいただきます。食べきれない場合は、懐紙で包んで持ち帰ってもOK🙆♀️👌
薄茶のいただき方|「スイキリ」ノススメ
① 薄茶が出されたら … お互いに "礼"
茶会では、お茶が運ばれてくるので、前に出されたら一礼。茶碗を右手で縁内、次客との間において「お先に」と一礼。茶碗を膝前に移して亭主に「お点前頂戴します」とあいさつする。
② 茶碗をとって左手のひらに … 感謝の "礼"
茶碗を左手にのせ、右手を添えて(親指は開いた状態)軽くおしいただく。(これは、一杯のお茶を頂くことに対する感謝の心の現れといわれています。)
③ 正面を避けて飲む … 控えめな心を表現
茶碗の右向こうを持って、時計回りに少しずつ、茶碗の底をこすらないように浮かせて二回まわす。右手を添えて茶碗をしっかりと持ち、静かにゆっくりと飲みましょう。最後は、お茶が残らないように 啜いきる。※「啜いきり(すいきり)」とは、最後の一口で「ズッ」と吸う音を出すこと。亭主へ感謝の気持ちを表しているそう。
④ 飲み終わったら … 正面を戻す
飲み終わったら、右手の指先で飲み口を摘まむようにして軽くぬぐい、その指先を懐紙で清める。茶碗の右手前を持って、反時計回りに二回まわして、正面を元の位置に戻し、へり外におく。
文字にすると複雑に感じるかもしれませんが、実のところはすべて「配慮」の一環です。一度覚えてしまえば、日常における美しい所作につながります♪💎
さて、お次は茶事編。色々書き連ねるのは、昔やらかした数々の茶席での教訓があればこそです。
「礼」さえあればいいんでしょ!?と、若さ故に緊張することもなければ自戒の念もなく、旅の恥は掻き捨てと云わんばかりに開き直りただその場を楽しんでいたのはこの私です😅
茶事の心得 📗🔖
茶事と茶会、本来同じ意味で使われていましたが近年になり、その内容の違いから使い分けされています。
茶会では、ほとんどのケースで薄茶と嗜好の和菓子をいただきます。場合により濃茶や点心(お弁当)の提供もありますが、大きな違いは、"茶会" は不特定多数に向けた催し、一方で "茶事"は招かれた客人と亭主の少人数で行われる正式な茶会です。懐石料理とお酒・主菓子・濃茶・薄茶が順々にふるまわれ、その瞬間を皆で楽しむために使用する道具類も嗜好が工夫され、お茶を愉しむためのパーティーです。このコーナーでは、カジュアルな茶事のための覚え書きをざっくり紹介します。
寄付から待合まで|身じたくの時間
席入り前の「ぜひこれだけは!」を簡単に☝
① 茶席でアクセサリー・香水は付けません。茶碗などの道具は陶器ですし、茶席では香が焚かれるから。
② 連客が揃ったら「お湯」が出されるので、それをいただく。
③ 用意されたはきものを履き、腰掛に座って待つ。
④ 亭主とあいさつを交わし、つくばいで手を清める。
⑤ 茶席に入る。※前述『茶会に行こう!』の "茶席に入る" を参照
懐石料理の い・ろ・は|箸の文化をマスターしよう
席入りし定座に着くと、亭主が茶道口に出てきます。正客とのあいさつの後、懐石料理が運ばれます。なんとなく、ここから本格的にスタートという雰囲気に♪
"箸に始まり箸に終わる"ともいわれる和食の共通ルールと、裏千家ならではのご飯の盛り方「一文字」を味わって✨
※一文字とは ☝千利休は、茶の湯の飯を「にぎり飯に出来ない柔らかさ」 とし、ご飯を蒸らす前の炊き立ての短い間のご飯を召し上がっていただくというもの。禅の教えからきているともいわれ、次に出てくるお酒がまわらないようにとの配慮もあるのだとか。。
① 膳が運ばれる … 手渡しで受けとります
懐石のお膳は、折敷で運ばれます。一膝前に出て受けとり、そのままの形で一礼。膳を畳に置き、一膝下がり元の場所に戻る。次客に「お先に」とあいさつをして、膳を膝前まで引き寄せる。
② 亭主のあいさつ … 「お箸をおとりください」
亭主と正客のやりとりの後、正客の「いただきましょう」を受けて「お相伴を」。
右手で汁椀の蓋、左手で飯椀の蓋を同時にとる。右手の蓋は伏せたまま、左手の蓋を上向きにして両方重ね、重ねた蓋を右手で深く持ち直して、膳の右わきに置く。
③ 汁椀と飯椀 … 「一文字」は禅の教えから
汁椀を右手でとり左手に渡し、次に箸を上から取り、椀を持っている手の薬指あたりで一度扱って通常のように箸を持ち直し、一口飲んで汁のかげんを見る。
箸を置くときは取るときの逆の流れで、膳の手前側の左端に箸先をかけて置く。次に飯椀を同様に取り上げて、一口食べて膳に戻してから、汁をいただく。このときは、汁の実もいただく。全部食べ終わったら、膳の右わきに置いた蓋を一手でとり上げ、元のように蓋をする。
懐石にお酒はつきもの|杯台のおとり回し
小腹を満たすと次はお酒の登場です♪ それまでは、向付に手をつけません。
① 杯のうけとり … 「お先に」を忘れずに
杯台が回ってきたら「お先に」と次客に告げ、全部の杯を膳の右横・畳の上におろし、一番下の杯一枚を残して、上の杯を元の杯台に戻す。
② お酒をいただく … 向付もいただく
亭主が酒を注ぎに一巡するので、それを受けて一口飲み、向付の右側に杯を置く。箸をとり上げて、向付をいただく。
③ 飯器の持ち出しとお汁替え
亭主は正客に飯器を持ち出し「おつけしましょう」とご飯のお代わりを促し、正客の「どうぞおまかせを」のあいさつを受け、飯器を膳の横に置き、「お汁替えを」促す。
客人は、亭主の差し出したお盆に蓋をした汁椀を乗せる。汁椀の替えが持ち出される間に、飯器がまわってくる(飯器は、返した状態の蓋から回ってくるので両手で次客に手送り)。飯器を左ひざ上で抱くように持ち、ご飯を自分の茶碗に盛り(人数の等分になるように)、両手で次におくる。そのうちに、替えの汁椀が出されるので両手で受けとりいただく。
④ 続けて煮物椀 … そしてお酒♪
煮物椀はお膳の向こう側に出されます。膳の右横に寄せ、蓋を取り、蓋は膳の右向こう側へ置く。亭主の「お温井うちいうちに」を受けて、皆様でご一緒に椀をいただく。
煮物と同時にお酒が出されるので、杯をとってそれを受ける。
⑤ 一汁三菜 … そしてお酒♪♪
三菜とは、向付・煮物・焼物のこと。煮物椀のあとに焼物(魚の切り身を焼いたもの)が鉢に盛り付けられて出てくるので、向付の上にとりまわす。向付がふさがっている場合には煮物椀の蓋などを利用する。焼物の後に飯器が再び出されるので飯椀に盛り次におくる。ご飯は、一口分を最後に残しておく。
この他に、強肴とよばれるお酒のお供が出てくることもあるので、それも取りおくる。お酒が出されたら、隣同士で注ぎまわしていただく。
⑥ 箸洗いと八寸 … 千鳥の杯♪♪♪
箸洗いが出され、代わりに煮物椀が下げられる(はしあらいは、小吸物ともいわれる少量の淡白な吸物のこと)。続いて、順に八寸と燗鍋が出されるので、まず酒を受け、八寸をうける。一巡の後、亭主は正客の前に戻り、千鳥の杯(亭主が客人から順にお酒をいただき、注ぎ合う様を表す言葉)という献酬を受ける。
⑦ 湯桶と漬物 … あと始末で膳をさげる
漬物は向付の上に、湯桶は蓋から手おくりする。汁椀と飯椀に蓋をしている場合は蓋を開け、湯桶に入っている湯の子すくいを使って飯椀に湯の子をすくい、汁椀にはお湯を注ぎ蓋をすしておく。飯椀には漬物を添えて湯づけにしていただき、汁椀の湯で箸を洗い、その湯は飯椀にあけて飲んでしまう。
それぞれの椀が片付いたら、皆で同時に箸を膳に落として軽く音をたて、食事の済んだ合図をする。亭主は茶道口であいさつ、客人もそれを受けてあいさつ。
亭主が膳を取りにきたら、膳を手渡して一膝さがり、一礼。
⑧ 主菓子をいただく
主菓子は、鉢盛り・縁高・銘々器など多様な器に盛り付けられます。ここでは、いちばん正式なものとされる縁高の扱いを説明します。
縁高には、正客の主菓子が最下段に、次客以降は上段に、末客の主菓子は最上段入っています。蓋の上には客数分のクロモジようじが組まれています。
主菓子は、先ず正客の膝前に運ばれるので、次客に「お先に」とあいさつをして、菓子器に軽く両手をかけて一礼、最下段を残して上段を少し持ち上げ斜めにずらし、蓋上のようじをとって箱中に入れ、上段を重ねたまま次客におくる(縁外で)。次客以降は、同様に最下段を残して斜めにずらし、菓子数を確認して同数のようじを箱中に入れて、上段を次におくる。懐紙を膝前(縁内)に出し、菓子器に軽く手を添え、ようじで主菓子を突き刺し、懐紙の上にとっていただく。